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未経験から社外のプロに頼られる存在へ。
変化に富む建材商社の仕事のやりがい
株式会社 カネト
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カネトは建築に必要な資材を扱う商社として、工務店や設計事務所など様々な関係者と協力しながら建築現場を支えています。未経験で入社し、ときには失敗もしながら変化に富む仕事に臨機応変に対応できる力を身に着けてきたという高見澤崇さん(木構造・プレカット事業部 課長)と藤巻千穂さん(総務部 係長)に、自身のキャリアや仕事の特徴、カネトの社風などについて伺いました。
金物屋に始まり、建材の総合商社へ
1947年に小海駅前の金物屋として創業したカネトは、1968年に建材機器 部を設立して以降、床材や壁材、サッシなど建築資材の仕入れ販売が事業の核となりました。2012年には太陽光発電システムや省エネ機器を扱う環境事業部を設けるなど、その後も事業の幅を広げながら今にいたります。
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軽井沢店では、カネトが取り扱う様々な種類の木材を手にとって見ることができます
高見澤さんは、サッシを組み立てる工場の2階で幼少期を過ごし、会社で働く人たちの姿がいつも身近にあったと振り返ります。
「保育園から帰るとボルトで遊んだり、事務員さんにおやつをもらったり、建築現場にもよく連れて行ってもらいました」(高見澤さん)
そんな高見澤さんは、大学卒業後に東京の異業種の会社で働いた後、2013年にカネトに入社。最初の3年間は他社に出向し、新しい部署の立ち上げに必要な知識を学びました。出向先は、建築に使う木材を設計図に合わせてカットする「プレカット」の工場で
現在の建築現場では、プレカット工場でカットした木材を運び込み、現場で組み立てる工法が主流です。カネトでプレカットの注文も受けられるようになれば、それまでメインの商材であった石膏ボードや断熱材などに加えて木材も取り扱える。建築に必要な材料を1社で引き受けられるようになればお客さんも助かるはず——そのような展望のもと、カネトはプレカット事業部の立ち上げを決めたので
出向先から戻った高見澤さんは新たな事業部の立ち上げメンバーの一人となり、現在は木構造・プレカット事業部の課長を務めています。)
強みは顧客のニーズを幅広く、迅速に満たす体制
プレカット事業に進出したカネトですが、自社工場はありません。注文主と打ち合わせて図面を作成し、現場への納品まで責任を持ちますが、加工の部分はいくつかの工場に外注しています。
複数の工場との提携には、顧客の要望や物件の特徴に合った加工方法を柔軟に選べるという利点があります。また、新型コロナウイルスの流行が引き金となったウッドショック(木材の不足と価格の高騰)の際も、この体制が功を奏しました。
「ウッドショックの際は、加工したくても元になる木が手に入らず、断らざるを得ないという会社さんが多かったんです。ですが、うちは取り引きのあるたくさんの工場に相談し、少しずつ仕事を割り振ることができました。複数の工場と連携してやっていくという体制がリスクヘッジになったんです。他で断られたという仕事も全て引き受けた結果、生産量が落ちるどころかむしろ上がり、そこからお付き合いが始まったお客様もいらっしゃいます」(高見澤さん)
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プレカット事業に限らず、カネトの強みは顧客のニーズにきめ細かく、臨機応変に応えられる体制にあると高見澤さん。「頼まれれば弁当だって届けますって、よくお客さんに言うんですよ」と笑います。
「『弊社にご相談いただければなんでも揃えます』という意味です。ただ、商社という立場だと、同じ商品ならうちに頼んでも他社に頼んでも変わりありません。じゃあ、どこで差別化するかというと、情報の速さや配送力なんです。営業担当者はしっかりアンテナを張り、お客さんに有益な情報を届けるということに力を入れています」(高見澤さん)
配送力が強みになるのは、自前の物流体制があるためです。軽井沢の物流事業部で10名のドライバー、サッシ事業部で10名の職人が、毎日様々な現場に商品を届けて回っています。軽井沢など住宅建設が盛んなエリアに近いのも利点で、現場から「これが足りない!」と連絡があれば、その日のうちに届けることも可能です。顧客がカネトの倉庫に直接取りにくることもでき、必要なものが早く手に入ると、非常に喜ばれています。
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職場の人間関係と社外の関係者に助けられて成長
取材に伺った軽井沢支店には大きな倉庫があり、そこから荷物を運び出してトラックに積み込む様子などから、活気のある雰囲気が伝わってきます。20代後半から30代前半の社員が多く、雑談が盛り上がることもしばしばだそうです。
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藤巻さんは、2016年に入社しました。長野県内の短期大学在学中に就職活動をするもなかなか内定を得られずにいたときに、大学の先生に勧められて受けたのがカネトでした。
内定を得て、就職活動を終わりにしたい一心で就職を決めたため、あまり前向きな気持ちで入社したわけではなかった藤巻さん。しかし、徐々に他の社員たちと打ち解け、会社が居心地の良い場所になっていったと振り返ります。
「入社したときは、働かなければいけないから働いているという意識だったんです。でも、2人の女性の先輩と仲良くなって、3人で遊んだり旅行に行ったりするようになりました。そうすると自然と他の女性の先輩たちとも仲良くなり、男性の社員の方たちにも心を開くことができるようになりました。結果として、とても働きやすい環境だと感じられ、この会社でがんばっていこうと思えるようになったんです」(藤巻さん)
入社当初に藤巻さんが配属されたのは事務部です。顧客からの注文を受け付けて各種伝票の入力や配送の手配をしたり、支店に届いた様々な資材を受け取って確認したり、それらを引き取りに来た大工さんの応対をしたりなど、仕事内容は多岐にわたりました。
「最初は建築現場で使われる専門用語が分らなくて、それを解読するのが大変でした。それが分かるようになっても、何かと臨機応変に動くことが求められ、いろいろと気を回さなければいけないことがあります。カネトの事務ができたら、どこに行っても通用するよ、と言われました」(藤巻さん)
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毎日、様々な資材が届き、出荷される軽井沢店の倉庫
事務というとルーチンワークのイメージがあります。しかしカネトの事務の仕事は、藤巻さんが「同じ日は1日もなかった」と言うほど変化に富み、退屈しない毎日だったそうです。
藤巻さんは5年前に総務部に異動し、人事と総務を担っています。ここでも、社長をはじめとする役員からの指示に応えたり、人材採用のための説明会や面接の段取りをしたりと臨機応変の対応が求められることが多く、日々考えながら仕事を進めています。
高見澤さんも藤巻さんも、業界未経験から入社し、現場で学びながら成長してきました。社外の様々な関係者とのやり取りが多く、調整が大変な部分もあります。その分、チームのような関係になれたときには、大きなやりがいを感じられる仕事だといえるでしょう。
「大工さんや設計士さんから『こういう建物を作りたいんだけど、どういう組み方をしたらいいですか』とか『こういう設計図を描いたんだけど、プレカットで実現できますか』とか、少し専門的なことで頼っていただけたときは、とても嬉しいです」(高見澤さん)
高見澤さんに、プロの相談を受けられるような知識や経験が最初からあったわけではありません。当初はゴミ拾いくらいしかすることがなくても現場に通い、納品した製品が組み立てられていく様子などを見たり、現場の大工さんたちに聞いて、少しずつ覚えていきました。その結果、うまくいかないことがあっても、一緒に解決策を考えてもらえるような関係性ができてきました。それが今、仕事をする上での重要な土台になっていると、高見澤さんは振り返ります。
失敗を経験し、そこから学んでほしい
カネトでは新卒と中途の人材採用を行っており、新卒については高卒と大卒合わせて2〜3名が毎年入社しています。地元で働きたいという人の他、最近ではパートナーの地元で暮らすために東信地域での仕事を探し、カネトに入社するというケースもあるそうです。
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軽井沢支店の窓の外には、雄大な浅間山の姿が見えます
「どんな人がカネトに向いていますか?」と聞くと、高見澤さんからは「仕事を自分ごとにできる人」という答えが返ってきました。
「建築はいろいろな業者さんが関わるので自分ひとりでは完結しませんし、一軒一軒が違うのでイレギュラーなことばかりです。関わる人たちそれぞれの都合もあるので、相手が『どうしてほしいか』をちゃんと考えて最後まで実行するという気持ちがないと、どうしてもやりきれないことが出てきてしまいます。お客さんのために自分ごととしてできるか、というのがとても大事です」(高見澤さん)
藤巻さんが考えるカネトに向く人は、「明るい人」です。
「分らないことがあるとか、慣れていないとか、最初はできないことがいろいろあると思うんです。でも、前向きな気持ちを持って、はっきり挨拶や返事ができる人がいいですね」(藤巻さん)
高見澤さんも、「分からなくても構わないので、はっきりリアクションしてくれるのが一番助かります」と頷きます。そして「若い人は、失敗を恐れないでほしい」と強調しました。
「入社したばかりでできないのは当然で、むしろ失敗してほしいと思っています。ちょうど今、入社3〜4ヶ月くらいの子がいるんですけど、失敗せずにできちゃったときは、『ここは、間違えてくれないと』って文句を言ったりするくらいで(笑)。失敗したときにこそ学びが生まれるものだから、どんどん失敗してほしいです」(高見澤さん)
高見澤さん自身、プレカットの加工不良が原因で現場に集まった職人さんたちの仕事が全部ストップしてしまったという経験があるそうです。ちょっとしたミスがスケジュールの遅れや信用低下も招く可能性があるということを、心に刻む機会になったことでしょう。
カネトに入社する人は、高見澤さん同様に業界未経験者が多く、必要な知識は仕事をしながら覚えていくことになります。ただ、昔のように「見て覚えろ」というやり方を良しとしているわけではなく、時代に合った育成方法に変えていきたい、と高見澤さん。失敗を学びを得る機会と捉えて見守るという考え方も、そのひとつでしょう。
若手の声を聴き、行動を示すことが重要
時代に合った育成という点では、モヤモヤしている若手がいたら話を聴くことも重要だと高見澤さんは感じています。
「以前は、不満を言えないまま溜め込んだ末に『辞めます』と言ってくる人がいました。そうなると、もう引き止めてもどうにもならないことが多いです。最近は、不安や不満があると藤巻さんのところに相談がくるようになって、急に辞めてしまうということがなくなっています」(高見澤さん)
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「特に『相談してね』と言っているわけではないんですけど、他の支店に行ったときにも若い社員に積極的に話しかけたりして、相談しやすい関係にはなれているのかもしれません。話を聞いて、私が全部解決できるわけではないんです。ときには高見澤さんにお願いして、相手の良いところも良くないところもはっきり言ってもらうなど、フォローしてもらっています。変えた方が良いことについては、会社に働きかけたりして少し妥協案のようなものが見いだせることもあるし、何も変わらなくても、行動し、その結果をちゃんと伝えてあげる。それだけでも、『話を聴いて、動いてくれたんだな』と納得感が得られることが多いですね」(藤巻さん)
まもなく創業80年を迎えるカネトがこれからも頼られる存在であり続けるために。高見澤さんや藤巻さんのような中堅社員が中心となり、時代に合った育成や働きやすい職場づくりを進めている様子がうかがえました。
文:やつづかえり