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 時代に即した人材育成で、地域の未来を支える会社に

株式会社 黒澤組

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 長野県小海町で70年以上の歴史を持つ黒澤組。高齢化が進む建設業ながら、約100名の社員のうち20代と30代が約3割を占めるなど、若手が活躍する会社です。代表取締役社長の黒澤和彦さんに、未経験の若手を育成するに当たって重視していることや、地域の暮らしを支える会社としての思いを伺いました。

円形の新社屋や現場に配達するお弁当に込められた思い

 黒澤組は、黒澤さんの祖父が土木工事の会社として1952年に創業した会社です。1970年代に生コンクリートやアスファルトの製造も自社で行うようになり、2000年代には建築分野にも進出するなど、事業の幅を広げてきました。

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2024年に完成した本社社屋。隣にもう1棟建設予定

 国道141号沿いの本社棟は2024年に完成したもので、美しい円形のデザインには、近隣の方にも注目してもらえるような建物を、という黒澤さんの考えが反映されています。円形部分の窓越しに見える広いスペースは、社員同士や地域の方々の交流が生まれるカフェスペースとなっています。

 

 そのスペースの奥にある扉を開くと、大きな厨房があります。そこでは毎朝お弁当作りが行われており、社員には現場までの配達も込みで1食300円で提供しています。

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朝からお弁当を作り、昼前に各現場に配達する

 「もう35年くらい前のことですが、先代の社長の時代に『毎日お弁当を持ってくるのが大変だ』という社員の声を聴き、『じゃあ、会社で作るか』ということになりました。建設業の会社の取り組みとしては珍しいので、いろいろ取材を受けたり表彰されたりもしました。今だに他の会社でやっているという話は聞かないですね」(黒澤さん)

人を育てる方法も、時代に合わせて変化

 お弁当の提供を始めた経緯からも、社員のために何が必要かを考え、独自の施策を実行する会社の姿勢が伝わってきます。

 

 そんな黒澤組が最近力を入れているのが人材育成です。社員一人ひとりの技術がなければ、会社として良い仕事をし、成長していくことはできないと考えるからです。

 

 この人手不足の時代に建設業の持続可能性を高める鍵は“デジタル化”だと、世間では言われています。黒澤組でも、3Dスキャナによる計測システムやドローン、ICT建機などの導入を5年ほど前から本格化しています。それでも、社員が現場経験を積んでスキルを身に着けていくことの重要性は変わらないと、黒澤さんは指摘します。

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 「デジタル化を進めれば、それほど熟練していない人でもできる仕事が増えます。とは言え、ある程度の経験が必要とされる仕事がなくなるわけではありません。若い人たちにどれだけ経験を積んでもらえるかが重要な課題です。そこで8年ほど前、社員の採用と教育にきちんと取り組んでいこうと『人材育成推進室』を立ち上げました」(黒澤さん)

 

 同社の採用サイトには、「人材育成の方法も時代とともに変化します」という言葉とともに、人材育成のあり方の「これまで」と「これから」を比較した表が掲げられています。

人材育成のあり方の変化 黒澤組 採用サイトより

 建設業というとどうしても「上下関係が厳しい男性的な職場」というイメージがつきまといます。しかし黒澤組は時代に即して変化している——それを伝えるために、普段から意識していることを明文化してサイトに掲載しました。これが形骸化しないよう、外部講師を招いて研修を行うなど、社内の意識変革にも継続的に取り組んでいます。

 

 一方で、優しく教えるだけでは建設現場での仕事の安全と品質を保つことが難しい面もあります。厳しく指導することが必要なタイミングもあり、そのバランスを取ることには苦慮しています。しかし黒澤さんには「一番大事なのは若い人に入っていただき、その人の能力を発揮してもらうこと、やりがいを持ってもらうこと」という信念があり、そのための方法を試行錯誤し、時代に合わせて変化させてきたのです。

挑戦の機会とチームのフォローで未経験から育てる

 同社は毎年1〜2名程度の新卒入社者がおり、今後さらに採用を増やしていく予定です。中途採用も含めて4人に1人は県外からの応募者で、登山が好きで自然の多い地域で働けることに魅力を感じて入社した人もいます。他にも、運動部出身で身体を動かすことが好き、車や重機に興味がある、といった人が比較的多いようです。

 

 業界経験や土木や建築に関する専門的知識は、あれば役に立ちますが、全くの未経験でもやっていけるよう、独自の育成カリキュラムを用意しています。

 

 近年は女性の採用も積極的に行っており、現在の男女比は5:1程度です。現状は内勤の業務で力を発揮している女性が多いですが、一部には現場で働いている女性社員もいます。建設業界全体でも、現場の休憩所の快適性向上など女性が働きやすい環境整備が進んできており、黒澤組でも活躍の場が広がっていくでしょう。

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本社内の執務スペース

 先にも触れた通り、人材育成に関して黒澤さんが大切にしているのが「経験」です。

 

 「ひとつの仕事をこなしていく中でスキルが向上したり意識が変わったりするものですから、その機会をいかにつくるかということに腐心しています」(黒澤さん)

 

 道路や大型店舗・施設といった大規模な工事に関わる仕事は、相応のプレッシャーも伴うでしょう。挑戦の機会を与えられて積極的に飛び込んでいく人もいれば、「今はまだ難しい」と感じる人もいます。強制はせず、その人がチャレンジできるタイミングを待つというのが、黒澤さんの姿勢です。また、チャレンジしてみてうまくいかないときも、会社全体でフォローできるのが同社の強みだといいます。

 「うちは、現場監督も現場で作業をする人も自社の社員です。適材適所で、みんなで協力していいものを作るというスタンスでやっています」(黒澤さん)

生活になくてはならない仕事を通じ、地域に貢献したい

 県外からの応募も歓迎しつつ、黒澤さんは「できるだけ地元の方に入社してもらいたい」と語ります。そのため、近隣の高校や県内の大学に通う学生のインターンの受け入れや、地域の企業の合同説明会への参加も積極的に行っています。

 

 人材育成推進室で採用を担当する牛山花純さんによると、説明会には地元の高校を卒業した社員に参加してもらい、身近な先輩として話をしてもらうそうです。

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 「『同じ高校出身なんですよ』と社員を紹介すると、高校生の皆さんも興味をもって話を聞いてくれるんです。ただ、そういう場に慣れていない社員もいるので、『こういう話をしてほしい』というガイドを事前に渡したり、『学生さんからこんな質問が出てくるかもしれないから、答えを考えておいてもらえる?』とお願いしておきます。それでも自分の言葉で伝えるのが苦手だという場合は、私たちが話を聞いて一緒にメモを作るなど、なるべく前向きに参加して良い話をしてもらえるように工夫しています」(牛山さん)

 

黒澤さんは、首都圏に人口や産業が集中し地方の持続可能性が危ぶまれる状態を憂いつつ、この地域をなんとかもり立てていきたいと考えています。そのため、小海町のぎおん祭や氷上トライアスロン大会などのイベントに積極的に参加したり、地域の野球チームの監督を務め、社員にも参加を促すなど、地域の人々との関わりの機会を大事にしています。そして何より「建設会社は地域の暮らしにとってなくてはならないもの」という思いをもとに業界のイメージを変え、若い人たちが夢を持って働ける職場づくりをすることで地域に貢献したいと力強く語りました。

 「何もなかったところに道路や建物ができ、それによって地域の皆さんがより快適に暮らせるようになる。これがこの仕事の一番の醍醐味です。それが社員を通じて子どもたちや周囲の人に伝わり、この業界に入ってくれる人が増えるといいですよね。そう考えて取り組んでいます」(黒澤さん)

 

文:やつづかえり

株式会社黒澤組ウェブサイト

株式会社黒澤組リクルートサイト

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